前回の記事で、移住してから3年間のことを振り返りました。

大阪から西浅井に引っ越してきて、まさか自分がカフェを始めることになるとは、当時は思ってもいませんでした。

お店の経験もなければ、それまでは普通の会社員。

それなのに、移住前には「おにぎり屋をやろう」と考えていました。

今振り返ると、「これが食べたい」「こんなお店があったらいいな」ということばかり考えていて、実際にそれを一人で運営する大変さなんて、ほとんど考えていませんでした。

かなり無謀な計画だったと思います。笑

そこから実際にお店を始めてみて、やってみないと分からないことに気づき、試して、やめて、また変えて。

そうやって少しずつ、今の形になっていきました。

今回は、そんな私がなぜお店を始めることになったのか。

そして、なぜおにぎり屋からカフェになり、そこから今の「コメコノコト」につながっていったのか。

少し振り返ってみようと思います。

Contents
  1. そもそも、なぜお店をやろうと思ったのか
  2. 会社員を辞めて、「自分で何かをやってみたい」と思うようになった
  3. 何のお店にする? そして、おにぎり屋になった
  4. でも、今思えばかなり無謀だった
  5. 最初のお店の話はなくなり、もう一度考え直すことに
  6. 「カフェ ふなよせ」が始まり、初めて「一人でやる」が見えてきた
  7. 「まずはカフェから」に変わった
  8. そして、米粉のお菓子を考えるようになった
  9. 最初に思い描いていたものとは、ずいぶん変わりました

そもそも、なぜお店をやろうと思ったのか

「お店をやりたい」が先だったわけではない

そもそも、私は「お店をやりたい!」と思って移住を決めたわけではありません。

移住が決まった頃、以前から移住のことをサポートしてくださっていた方から、

「営業許可が取れている場所があるから、よかったら使ってみる?」

というような話をいただきました。

「こんな場所もあるよ。お店をやることもできるよ」

くらいの話だったと思います。

それを聞いて、

「へえ、そんなこともできるんだ」

と思ったのが始まりでした。

お店をやりたいと思ったことはなかったのですが、移住した先で、何か自分の仕事や事業をつくりたい、という気持ちはありました。

もちろん、自分がお店に向いているとは思っていませんでした。

それでも、せっかく「やってみてもいい場所」があるのなら、

「向いていないから」と最初からやらないのは、なんだかもったいない。

単純に、ちょっとやってみたかったんだと思います。

それに、やってみたら、自分の何かが変わるかもしれない。

そんな気持ちもあって、

「じゃあ、やってみようかな」

と、だんだん思うようになりました。

会社員を辞めて、「自分で何かをやってみたい」と思うようになった

安定した会社員生活に、少しずつ感じていた違和感

もともと私は、大学を卒業してから大阪で会社員として8年ほど働いていました。

残業もなく、安定していて、居心地のいい職場でした。

それでも、5年後、10年後の自分を想像したときに、

「たぶんこのまま、なんの成長もなく、ぼーっと過ごしているんだろうな」

と思えてしまった。

そのことに、少し焦りを感じるようになりました。

居心地はよかったけれど、「このままでいいのかな」という気持ちはどこかにあって、思い切って会社を辞めました。

やりたいことが決まっていたわけでもなかった

とはいえ、会社を辞めたからといって、

「これがやりたい!」

というものがあったわけではありません。

自分に何が向いているのかも、よく分かりませんでした。

そんなときに興味を持ったのが、当時は今ほど発信が一般的ではなかったSNSでした。

Instagramを始めて、料理やお弁当を投稿するようになって、少しずつ食について考える機会も増えていきました。

そして、

「食べものの産地の近くで暮らしてみたい」

「もっといろんな経験をして、自分なりのものの見方を身につけたい」

という気持ちも芽生えてきました。

だから、移住先で「自分で何かをやってみる」ということは、私の中ではそれほど遠い話ではなかったのだと思います。

何のお店にする? そして、おにぎり屋になった

「あったらいいな」から考えたお店

お店をやることを考え始めたら、次に考えるのは、

「じゃあ、何のお店にする?」

ということ。

私はそれまでInstagramでお弁当を発信していたので、

お弁当のように、いろんなおかずが少しずつ入っているもの。

小鉢のおかずとご飯と汁物があって、ちゃんと満足できるような定食。

そんなお店ができたらいいなと思っていました。

私自身、そういうご飯が好きだったし、

「こういうお店が近くにあったらうれしいな」

と思えるものでもありました。

そして、ここ西浅井は、お米がおいしい地域です。

それなら、

「おいしいお米を使ったご飯」

というのも、この場所ならではの魅力になるんじゃないか。

そんなふうに考えました。

Instagramの反応と、大好きなおにぎり

そんな中で、Instagramにおにぎりを投稿すると、比較的反応がよかったこともありました。

私自身も、おにぎりは大好き。

見た目もかわいい。

それなら、おにぎりのお店にしよう。

さらに、

「普通のおにぎりより、ちょっとかわいいものにしたい」

と思って、考えたのが手毬おにぎりでした。

小さな丸いおにぎりをいくつか並べて、いろんな具材を楽しめる。

見た目もかわいいから、SNSに載せたくなる人もいるかもしれない。

そんなことを考えて、

「手毬おにぎりのお店にしよう!」

と決めました。

3年前、「田舎暮らしはじめます」という投稿をしたときに載せた、あの手毬おにぎりの写真。

実はあれ、大阪にいた頃に試作していたものです。笑

なので、こちらに来る前も、来てしばらくの間も、

私は本当に、おにぎり屋をやるつもりでした。

手毬おにぎりの定食当時、試作していた手毬おにぎりの定食

でも、今思えばかなり無謀だった

「お客さんとして嬉しい」と「自分一人で作れる」は別だった

当時考えていたのは、5種類くらいの手毬おにぎりに、汁物、煮物、おひたし、漬物などをつけた、満足感のある定食。

……と、ここまで聞くと、なんとなくお店らしく聞こえるのですが。

今考えると、

「それ、一人で作れるの?」

という話です。

家で夫と二人分のご飯をつくるだけでも、そこそこ時間がかかる。

そこに、5種類のおにぎりを握って、おかずを何品も用意して、温かい状態でお客さんに提供する。

しかも私は、ひとりでお店を切り盛りした経験もありません。

お店を始める前の私は、

「まあ、作るものを決めて、始めてしまえばなんとかなるでしょ」

くらいに思っていました。

今なら、

「いや、そこ、試作する前に考えるところでは?」

と思います。笑

もちろん、実際には、うまく運営されているおにぎり屋さんや定食屋さんはたくさんあります。

きっと、やり方はいろいろある。

でも、それをやるのは自分。

そのときの自分にできなければ、できないんですよね。

「作りたいもの」と「一人で回せるもの」は違う

当時の私は、お店の経験がないので、

「なにを作るのか」

「どんなお店にしたいか」

「どんなものがあると嬉しいのか」

という、どちらかというとお客さん側の目線でしか、考えられていませんでした。

一人でやるなら、何をどこまで準備できるのか。

注文が重なったらどうするのか。

洗い物はどれくらい出るのか。

そもそも、自分一人で本当に回せるのか。

そういうことを考えるところまで、まだ頭が回っていなかったんだと思います。

最初のお店の話はなくなり、もう一度考え直すことに

幸い、本格的に始める前だった

そんな感じで、かなり軽いノリでおにぎり屋を始めようとしていたのですが、

最初に借りようと思っていた場所は、その後いろいろな事情があって、お店をやる話自体がなくなってしまいました。

幸いだったのは、まだ本格的に設備を整えたり、営業を始めたりする前だったこと。

今振り返ると、

「あのまま始めなくてよかったな」

と思います。

当時の私は、まだ「お店を運営する」ことが、どういうことなのか分かっていなかったからです。

そして、そのことを身をもって知るのは、もう少しあと。

今の「カフェ ふなよせ」を始めることになってからでした。

「カフェ ふなよせ」が始まり、初めて「一人でやる」が見えてきた

場所ができると、考えることが変わった

今のお店の場所が使えることになり、実際に建物を見て、準備をしていくなかで、お店の営業について考えるようになりました。

すると、

「ここで一人で営業するなら、どう動く?」

「何をどこまで仕込んでおく?」

「何をどこに置く?」

「洗い物は?」

「これを全部やりながら、お客さんの対応もするの?」

と、今まで考えていなかったことが、どんどん見えてきました。

しかも、今の「カフェ ふなよせ」の場所は、もともとお店としてつくられた場所ではありません。

建物自体もかなり広く、玄関、作業スペースになる台所、お客さんが座る場所も、それぞれ少し離れています。

そのため、

「普通のお店って、こんな感じかな」

と、知っているお店の形をそのまま参考にすることもできません。

どこでお客さんを迎えて、どこで注文を受けて、どこから料理や飲み物を運んで、使い終わった食器をどうやって下げるのか。

そういう一つひとつの動きを、自分で考えていく必要がありました。

おにぎりや定食がやりたい、という気持ちだけで考えていたときには見えていなかったことが、実際に場所ができて、自分がそこで動くことを考えてみると、少しずつ具体的になってきたんです。

そこで初めて、

「お店って、思っていたよりずっと大変だな」

と思いました。

カフェ ふなよせの店内カフェ ふなよせの広すぎる店内。

まずは、もっとシンプルな形から

だったら、最初からいろいろなことをやろうとするのではなく、もう少しシンプルな形から始めたほうがいいんじゃないか。

そう考えるようになりました。

「まずはカフェから」に変わった

一人で始めるなら、できるだけ小さく

そこで改めて、

「一人でやるなら、どんなお店なら無理なく始められるだろう?」

と考えてみました。

そもそも、この時点では、これから始めるお店がうまくいくかどうかも分かりません。

いきなり大きく始めるのではなく、まずは自分一人でも回せるくらいの規模で、小さく始めてみたい。

営業日には夫にも手伝ってもらうことになっていましたが、基本的には、自分でお店を回せる形をつくりたいと思っていました。

たとえば、当時考えていたような定食を出すとなると、大きなお鍋や炊飯器など、それなりの調理設備も必要になります。

料理も何品も用意しなければいけないし、使う食器や調理器具も増える。

一人で営業するなら、料理を作るだけではなく、注文を受けて、盛り付けて、提供して、洗い物をして、お客さんの対応もして……と、全部自分でやらなければいけません。

お菓子とコーヒーなら、もっとシンプルにできる

一方で、お菓子とコーヒーを中心としたカフェなら、もっと小さく始められる。

オーブンと基本的な調理器具があれば、ある程度のお菓子は作れるし、定食ほどたくさんの調理器具や食器も必要ありません。

お菓子は、料理に比べると使う材料もある程度絞ることができるし、原材料も比較的日持ちするものが多い。

コーヒー豆も、そういう意味ではロスが出にくい。

もちろん、カフェだから簡単というわけではありません。

でも、初めて一人でお店をやるなら、できるだけシンプルな形から始めて、まずはお店を運営することに慣れていくほうがいい。

そう考えて、

「まずはカフェから始めてみよう」

と思うようになりました。

もし将来的にランチなどをやりたくなったとしても、そのときに考えればいい。

そんなふうに、最初に思い描いていた「おにぎりと定食のお店」から、少しずつ形が変わっていきました。

「お菓子なら、この先にもつなげられるかもしれない」

さらに、お菓子なら、カフェで食べてもらうだけではなく、観光で来た方のお土産にしたり、持ち帰ってもらったり、オンラインでの販売も比較的やりやすい。

「この先、いろいろな形に広げていけるかもしれない」

ということも、お菓子を選んだ理由の一つでした。

そして、米粉のお菓子を考えるようになった

実は、おにぎり屋を考えていた頃から

そして、もう一つ。

実は、おにぎり屋さんを考えていた頃から、米粉のことは少し頭にありました。

定食のデザートに、米粉のお菓子を出す。

そんなことを考えていたんです。

もともと私は、身体に負担の少ない食事を日頃から意識しようとしていました。

そんな中で米粉を知り、米粉パンなどを作ってみたこともありました。

ただ、なかなかうまくいかなくて、もっと米粉について知りたいと思い、米粉マイスターの資格を通して、扱い方を学んでいました。

とはいえ、この頃の私にとって米粉のお菓子は、あくまで定食についてくるデザート。

まさか、それをお店の中心にするとは思っていませんでした。

米粉の黒豆蒸しパン家でも作っていた米粉のお菓子。(黒豆蒸しパン)

西浅井のお米と、米粉がつながった

ところが、カフェを始めることになって、

「米粉のお菓子って面白いかもしれない」

と、改めて思うようになりました。

そして、ここはお米がおいしい西浅井。

「いつか、西浅井のお米を米粉にして、お菓子を作れたらいいな」

そんなことも考えるようになりました。

カフェを始めた当時は、まだ西浅井産の米粉は手に入らなかったので、まずは別の米粉を使ってお菓子を作っていました。

それでも、いつか自分で西浅井のお米を米粉にして、商品にできたら。

そんな思いも、少しずつ大きくなっていきました。

最初に思い描いていたものとは、ずいぶん変わりました

今は、米粉サンドをオンラインでも

こうして見ていくと、

最初はおにぎり屋をやろうとしていて、

それがカフェになって、

そこから米粉のお菓子を作るようになって。

最初に思い描いていたものと比べると、今はずいぶん違った形になりました。

お店を始めてからも、いろいろなものを試して、やめて、また変えて。

実際にやってみて、

「これは続けるのが大変だな」

「こっちのほうが、自分には合っているかもしれない」

と分かったこともたくさんあります。

そうやって少しずつ、一人でも無理なく続けていける形を探してきました。

今は、米粉でつくったアイスサンド「米粉サンド」を中心に、オンラインでも商品を届けています。

次は、そもそも私がなぜ米粉に興味を持つようになったのか。

そして、なぜ今、米粉そのものを届けたいと思っているのか。

そのあたりについて、もう少し書いてみようと思います。